RICOH THETA マウント #1

THETAマウント

前回に引き続き、RICOH THETAのマウントを作ります。
今回は、ざっと制御用回路を設計するところからです。

■ 制御基板で実現したいこと

前回、おおざっぱですが、マウントで実現したいことは説明させていただきました。
要約すると「THETAの電源をON/OFF制御しつつ、長時間撮影したい」という感じです。
制御基板の機能としては、 すぐには使わない回路も含め、以下の機能を仕込んでおこうと思います。

a. ステッパー制御
RICOH THETAの電源ON/OFF制御を行うためのステッパー制御回路。
b. (リミットSWによる)ホーム検知
ステッパー制御時の移動基準位置(ホームポジション)の検出回路。
c. RICOH THETA USB接続/切断制御
RICOH THETAの電源ON/OFFと同時に、USBの接続/切断を行うための回路。
d. c.に連動した冷却ファン制御
c.に連動し、冷却ファンのON/OFF制御回路。
e. RICOH THETA USB接続/切断 スイッチ制御
USB経由のリモート制御だけでなく、手元でON/OFFするためのスイッチ制御。
f. 外部装置制御IF
将来的に装置を装着するための制御IF。

※ 基板サイズと、手持ちの部品優先なので、プロジェクト進行時にあきらめる可能性もあります。

■ 手持ちの主要部品

使えそうな主要部品をリストアップします。
今回は、これらを使って制御基板を作成します。

主要部品リスト

■ Schematic

部品数、格納スペースから基板1枚では収まらないと思ったので、下記の2枚の基板で構成することにしました。

a. メイン基板
Arduino Nanoを搭載し、b.のスイッチ基板を含め制御を行う基板です。
基板上には、ステッパー制御回路、手元でON/OFFするための回路を搭載ます。
b. スイッチ基板
USB 接続/切断、冷却ファンSW、外部装置用SWを制御するための回路を搭載します。

以降にそれぞれの基板を回路図を元に説明させていただきます。

〇 メイン基板

メイン基板

① リセット防止回路
Arduinoは、手軽にUSBシリアル経由でプログラムを書き込めるように設計されています。
USBシリアルオープン時に、MCUのリセットをかけ、プログラムを書き込む仕組みとなっています。
この状態のままですと、TEHTA マウントを制御のためにUSBにアクセスするとプログラムがリセットされてしまいますので、今回のプロジェクトには不都合です。
これを避けるため、運用時は、PROTECTにジャンパーし、コンデンサでRSTを支えます。
当然、ジャンパー中は、プログラムを書き込むこともできません。
プログラムの書き換えが必要な場合は、ジャンパーを外してプログラムを書き込む運用とします。

② インジケータ
今回はステッパーを用いて、特定位置より動作を始める仕組みなので、故障が発生する可能性があります。ケースの外からは、中をのぞかないと見えないと思いますが、一応、わかるようにしておきます。
モーター等で駆動する装置は、経年劣化である日突然と故障することが考えられるからです。

③ 電解コンデンサ
パスコン的な役割です。モーター、ファイン、リレーなど、電力を消費するデバイスが装着されますので、念のため容量の大きな電解コンデンサを入れています。
今回は、MCU、モーター、ファン、リレー等で結構な電力を消費するはずです。
これに加え、外部装置も電力消費しますので、何もなしでは、ちょっと厳しい感じです。

④ BYJ28-48 制御信号コネクタ
BYJ28-48をULN2003ANを介して制御します。
ULN2003ANはモーター制御用に設計されたLSIですが、BYJ28-48とゴールデンコンビです。
世にある製品でも、この組み合わせで設計された製品は多数あります。

⑤ スイッチ基板コネクタ
スイッチ基板との接続コネクタです。
スイッチのON/OFF制御を伝達するだけのコネクタです。

⑥ オペレーションコネクタ
手動でON/OFFするためのセンサ、および、ホームポジション検知用のリミットSWとの接続コネクタです。

〇 スイッチ基板

スイッチ基板

⑦ メイン基板コネクタ
メイン基板より、スイッチのON/OFF信号を受け取るためのコネクタです。

⑧ 外部装置電源
MCUの指示で外部電源をON/OFFする回路です。
回路自体は、単純で、2SC1815で簡易スイッチング回路を組んであります。
逆流防止用にダイオードを入れてあります。

⑨ THETA USBスイッチング回路
THETAのUSB接続回路は、リレーを使って行います。
THETAの電源ON時にTHETA⇔PC間の電流だけでなく、メイン基板の電流もTHETAへ回します。
リレーを扱いますので、ダイオードを入れてます。

⑩ 冷却ファンスイッチ回路
⑨でTHETAの電源がONになった時点で、冷却ファンの電源も同時にONする設計です。
念のため、ダイオードを入れています。

■ 回路の試作

全部を確認する気はないですが、消費電力測定や回路の基本動作確認用にブレッドボード上で試作しました。Arduinoも一通りの制御プログラムを書き込み、本番同様に動くようにしました。
目的は、消費電力と、ON/OFFにかかる時間を、おおよそどのくらいかかるのか測定するためです。
ステッパーは、本来の動作の4倍の距離を動作するように設定しています。
冷却ファンは、リレーに接続しないで、直接電源に接続し電流測定しています。
下記の動画は、電源ONの動作確認を行っています。
ビデオは4倍速なので、ON/OFFにかかるであろう時間もわかります。

動作テスト

ビデオの長さを見ていただくとわかりますが、大体20秒程、ON/OFFにかかります。
ちょっと遅いですが、5V電源で完結させたい(別電源を用意したくない)のと、これ以上THETA マウントを大型化したくないので、まずは、このままでいくことにしました。
いよいよ我慢できないときには、ステッパーの利用方法を変えてギアなど採用しようと思います。
使用電流は最大280mAでした。USB2.0のバスパワーハブ等につなぐと少々余裕がない感じです。
RICOH THETAの消費電力の問題もあるので、PCのUSBポートにTHETA マウントと、RICOH THETAを直接つないで使用する形態がよさそうです。

■ 次回

次回は、基板設計とTHETA マウントへの組付け方法を検討します。
今回は、部品点数とDIP部品が多いので、かなり、苦しみそうな予感がします。
また、よかったら、見ていただけるとうれしいです。

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