実体顕微鏡 テスタージグ 光学ユニット検討-ミラーユニットの検討

WORKS

ミラーユニットの検討は、色々と試行錯誤しながら行いました。
顕微鏡をのぞいて、なるべく違和感のない方法を試しながら選定していきました。

■ (現状の)最新版

下図は、今のところ概ね満足出ているミラーユニットです。
主要な部分は、以下の3つで構成されています。

① 反射角度調整ミラー
発光ユニットの表示を90度に屈折させるためのミラーです。
3Dプリント品の精度と組付け精度は、そんなに高いものではないので、可動式にしてあります。
② 透明プラスチック
ハーフミラー(フィルム)を固定するためのプラスチック板です。
③ ハーフミラー(フィルム)
透明プラスチックの一部をハーフミラー化するためのフィルムです。
ハーフミラーとなっているので、テスター数値表示と観測対象を同時に見ることが可能となります。

■ ハーフミラー素材探し#0

構造の検討はひたすら試行錯誤でしたが、その中でも、一番迷走したのは、ハーフミラーです。
まず、一番大きな問題は、加工可能なハーフミラーは高価なので、私には敷居が高すぎます。
なので、ハーフミラーの代替品を作るための素材探しからスタートしました。

まず、最初に目を付けたのが、3mm厚のアクリル板。強度、透明度とも文句なし。
まずは、紙に書いた図形がちゃんと透過して見えるかを確認。
その結果、残念ながら、下記のように図形がずれて見えてしまい、使い物にはなりません。
原因は、アクリル板の厚さにあり、光が大きく屈折してしまうためのようです。

紙に線をひいたもの
アクリル板3mmの結果

薄いアクリル板を見つけることができなかったので、使えそうな素材を物色してみました。
透明性はアクリル板に劣るものの硬質塩化ビニール板であれば、0.3mm程度のものまであります。
結果は、0.5mmを使用した結果ですが、屈折はかなり改善されており、透過性も問題はなさそうです。
0.5mmであれば、強度的にも大丈夫そうです。

硬質塩化ビニール 0.5mm

まだ、これだけではハーフミラーは作れません。
写真をみていただくとわかると思いますが、アクリル板、硬質塩化ビニールの表面には、紙に書いた線が透過しているだけで、ほかに何も写っていません。
このままではただの透明な板です。

■ ハーフミラー素材探し#1

透明な板だけではハーフミラーにはならないことが分かったので、次に考えたのが、ハーフミラーフィルムを貼れば、いいのではと考えました。
ハーフミラーフィルムといっても、ちゃんとしたモノは高いです。
また、フィルム厚も薄い方がいいはずです。
目を付けたのがAmazonで安売りされていた窓用ハーフミラーフィルム。(今は売られてなさそう)
色は、外側がブロンズ、内側がシルバーのものです。

窓用フィルム(申し訳ありません、一部しか映ってなかったです)

使ってみると、意外とちゃんとしたハーフミラーになりました。
ほかに、もっと優れた素材があると思いますが、私は、価格と入手性の観点から、このフィルムを使うことにしました。

■ ハーフミラーの素材探し#2

基本的な素材は、「硬質塩化ビニール」と「窓用ハーフミラーフィルム」で決定ですが、形状や、使い方については、実際にやりながらの試行錯誤を行いました。
最初にお見せしたハーフミラー形状ができるまで、かなりの試行錯誤をおこなったと思います。
かなりの量のフィラメントをプラスチックごみに変えたと思います。
試作でのこっているものを下図に示しますが、この試作で解決したかった課題は、「違和感の除去」です。
色々と試した結果、違和感の原因は、左目の暗い部分の面積に原因があったようです(私見です)。
ハーフミラーが、ある一定以上の面積や暗さになると、違和感と疲労感がでることがわかりました。

ミラーユニットの変遷

覚えているだけですが、下記のように少しづつ改良していきました。
① 「反射角度調整ミラー」の構造検討と、ミラーユニットの大体の形状を試作
② ハーフミラー部分に普通の鏡を装着したものを試作
このミラーユニットで違和感の正体を探りました
③ ハーフミラーを「ハーフミラーフィルムを貼った硬質塩化ビニール板」に変更
これで、ハーフミラーが機能していることの確認を行いました。
ただこれでも、違和感の除去には至りませんでした。
④ ハーフミラー部分を数値表示に必要な最小限の高さに変更
ハーフミラー部分の高さを低くすることで、違和感の除去ができました。
光源の角度によっては多少影が見えることはありますが、左右の目の違和感はなくなりました。
⑤ ハーフミラー固定部の小型化
  ハーフミラー固定部分が顕微鏡の視野に入ってくるので小型化を実施。
当初の移動範囲であれば、影はみえなくなりました。ほぼ、実用レベルに達しました。
⑥ ⑤にハーフミラーを装着しての実証検証用
 ほぼ、完了で実際に使用してみて、さらに問題点を探っていました。
実際に使ってみると、表示位置の移動範囲が狭いのと、テスターの数値が暗い気がしました。
⑦ ⑥の問題解消版(最終版)
 表示位置の移動範囲を広げるため、ハーフミラーの幅を広くし、ハーフミラー固定部を少し外側に
 移動しました。
また、数値が暗かった問題は、ハーフミラーの高さを2mmから3mmに変更して対応しました。
数値が暗いのは、背景が明るいためなので、ハーフミラーの高さをほんの少し高くしてやることで
 背景をほんの僅か暗くすることで、解消しました。もちろん高すぎると違和感がでるので、
試行錯誤で適量を導き出しました。

■ 実体顕微鏡 テスタージグの完成

長々と書いてきましたが、ここまでの課題を解消するのに約2か月くらいかかったと思います。
もちろん、(一応)昼間は仕事しているので、夜だけの作業ですが。
仕事以上に真剣に考えたような気もしますが、課題が解消し、完成できたので大変うれしく思います。
まず、こんなのDIYでやる人は、あまりいないとは思いますが、やると、色々と課題にぶち当たりますので、間違いなく非日常な経験が味わえます。
また、完成の暁には、ものすごい達成感も味わえます。(毎回成功するわけではないですが)
失敗したときには、敗北感があるかもしれませんが、また、こういうDIYに挑戦しようと思います。
次回以降は、簡単ですが、ジグの機能説明と、制作風景を御紹介させていただこうと思います。

■ まだまだ続きます

まだまだ続きます。週1ペースで更新していきますので、よかったら、また見てください。

タイトルとURLをコピーしました