実体顕微鏡 テスタージグ システム構成

WORKS

テスタージグ システム構成の検討過程を紹介します。
思考の流れとしては、テスタージグで達成したいことを妄想し、それを達成するためのシステム構成を決めていきました。

■ テスタージグで達成したいこと

ざっと、自分が趣味で使う場合にあるといいなと思う機能を列挙してから、検討に取り掛かりました。
比べるモノはないので、わたくしの独断です。

  1. 顕微鏡から目を離さないでテスター数値が、違和感なく読めること
  2. テスターはBluetooth接続で運用し、ケーブル等でテスターの置き場所が限定されないこと
  3. テスター数値をPC上のソフトウェア等で、表示、ロギングできること
  4. テスターのスイッチONですぐに使えること
  5. テスタージグは、顕微鏡スタンドに装着でき、作業の邪魔にならないこと
  6. 顕微鏡の数値表示位置を作業中に調整できること
  7. 操作が簡単であること(表示位置決めや、ON/OFF、表示モード切替等)
  8. 物体の大きさの計測や、位置をマーキングできること

■ システム構成

最終的に採用したシステム構成(概略図)を示します。

ニット名称(緑部)機能概要
A. PCソフト本システムの検証では、Ts Softwareさんがフリーで提供されている Ts DMM Viewerを使用させていただきました。
B. テスタージグ コントローラBlutooth対応テスターに接続し、実体顕微鏡の数値表示と、A.PCソフト用のデータ変換を行います。コントローラ内部は、ESP32で機能をすべて網羅してます。
実体顕微鏡のスタンドの定位置(照明などを装着する部分)に組み込んで使用します。(※ 画像1 横画像を参照)
本システムでは、waves ESP32 DevKitC V4を使用しました。
C. テスタージグ 光学ユニットoledに表示されたテスター数値を、実体顕微鏡の観察物画像と合成表示します。実体顕微鏡の対物レンズ付近に装着して使用します。(※ 画像1 横画像、画像2正面画像を参照)
D. Bluetooth対応テスターBluetoothでデータ送信するタイプのテスターを使用します。
本システムでは、INFURIDER YF-90EPDを使用しました。

テスタージグの装着イメージがわかないと思いますので、実際に装着した様子もあわせて添付します。はんだ付け等の作業や解析作業の邪魔にならない顕微鏡裏スペースを使用しています。正面からはほぼ見えない位置に装着しています。

画像1 横画像
画像2 正面画像

■ 基本原理

適当なところに表示装置を置いても数値は見えません。
なぜなら、顕微鏡は、接眼レンズの入り口で画像の焦点が合うように設計されているからです。
顕微鏡では、焦点の合う箇所は、私の知っているところでは、下記2か所しかありません。
a. 接眼レンズの差込口
接眼レンズにセットするゲージ等は、ここで観測対象との焦点を合わせています。
b. 観測対象付近
プレパラートにセットするゲージ等は、観測対象と同じ距離に存在しているので焦点があいます。

テスタージグは、テスター数値を表示する必要がありますが、a、b、に収まるようなものは作れそうにありません。
ここで、わたくしは天才的な方式を編み出しました(笑)
図3のように、観測対象と等距離に小型OLEDをおき、ハーフミラーなどで反射させれば、理屈の上では、観測対象と小型OLED画像の焦点距離は同じになります。
理論上は、b.の方式と同等となるはずです。
今回は、この原理をもとに課題検討を行っていきました。

図3 画像合成原理

■ 課題

細かな課題はやり始めると尽きないと思いますが、やる前から分かっている重大課題があります。
これが片付かないと、テスタージグは達成不可能です。これらの課題解決については、「データリンク検討」「光学ユニット検討」で検討の様子をお伝えします。

  1. ESP32とBluetoothテスターは接続可能であるか?データフォーマットは?
    ・テスター:YF-90EPDは、スマホと接続できるらしいので、ESP32とも接続できそうだが、やっている人を見たことがない
    ・テスター:YF-90EPDのデータフォーマットについては、なぞ
  2. 基本原理は別にして、実際にハーフミラー素材や光学ユニットの構成は?
    ・ハーフミラーとか、まったくわからない。身近で安価な素材で達成できるのか?
    ・実用性のあるサイズでモノができるのか?
  3. 小型OLEDは、顕微鏡表示に耐えれるのか
    顕微鏡表示では、かなり小さな文字を表示する必要があります。
    機構なども含め、適度なフォントサイズで表示する方法はあるのか?

■ 方式検討での寄り道

論理的に方式(原理)を決めたように見えますが、実は、決定までに、色々と試してました。
恥ずかしくてたくさんはお見せできないので、一つだけ紹介させていただきます。図4は、プロトタイプの一つです。
プローブに直接表示装置を装着するタイプをつくってみましたが、あえなく撃沈でした(笑)
今考えると、「やる前に気づけよ」って感じの絶望的なプロトタイプでした。
このプロトタイプの問題は、以下のように思いつくだけでいくつもありました。

  • 表示の焦点が合わない
    表示装置は、数値が読める程度のミラーが仕込んであるのですが、普通にプローブを当てようとすると斜めになってしまい、部分的に焦点が合わないという致命的な問題がありました。
  • とくかく表示装置が邪魔をして、プローブの先が見えない
    表示装置がプローブの先を隠してしまうことが多く、とにかく、場所によっては、角度を変えてプローブを当てなおす必要があるので、ストレスが溜まりました。
  • プローブの角度が限定される
    表示装置を常に対物レンズ側に向ける必要があるので、常に持ち手を気にしていないといけない。そもそも、対物レンズを意識してプローブを持つなんて無理。
  • 小型OLEDケースが邪魔
    小型OLEDケースが基板上の部品に当たり、プローブの先が計測したい場所に当たらないことがあります。
  • かっこ悪い
    とにかくかっこ悪い。磨くとか、塗装するとか以前の問題。
  • 普段使いで超邪魔
    テスターを普段使い(裸眼)で使おうとすると、邪魔で仕方ない。
図4 プロトタイプー1

■ まだまだ続きます

まだまだ続きます。週1ペースで更新していきますので、よかったら、また見てください。

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