狩猟 DX : 箱わなセンサー 試作 捕獲精度向上/作業軽減 室内評価中

ハンティング

私のライフワークの一つ、箱わなセンサーの開発記事です。
まだ先は長いですが、次にイノシシが親子で動き回る時期(6月~7月)のフィールド試験運用を目指して開発中です。これで、少しでも楽に捕獲することを期待しています。

開発のきっかけは、箱わな用に市販品で売られている様々なセンサー(一例)もありますが、自分にとってはコスト的に高嶺の花である上、既存の箱わなを改造することが前提だったり、自分の猟法、環境にあったセンサーではありませんでした。
ないものは、作ればいいじゃんということで、制作にチャレンジしています。
実験結果、成果の共有は不定期となりそうですが、記録に残していこうと思います。

本年度に初めて箱わなを運用してみて色々と気付きがありました。
設置場所、餌、給餌方法等の難しさ、手間は理解していたつもりです(一番腕のでるところ)。
ですが、それ以外にも「けり糸」という伏兵がいました。予想外に設定が大変で気をつかいました。

  1. 適正なけり糸の高さ調整が面倒
    箱わなは家族で捕獲するのが理想ですが、いのししを家族で捕獲するためには親にけり糸をけってもらう必要があります。(親狙い)
    ですが、なかには粘り強く誘引しても、絶対に入ってこない親(おそらくは箱わな経験個体)もいて、諦めて子供だけを捕獲せざるをえないケースもあります。(ウリ坊狙い)
    親狙いとするか、ウリ坊狙いとするかで、蹴り糸の高さ設定が違うので、カメラで現場の様子を見ながら高さ調整する必要があり、結構手間でした。
  2. けり糸の張り調整が面倒
    意外に、けり糸の張り調整も意外に時間がかかりました。
    私は、0.1mm程度のステンレス線を黒で着色して使用していますが、明るいところでも見えにくい糸なので、けり糸を張る際によれたり、もつれたりして、手こずることが多々ありました。
    糸ではないので、一度もつれてしまうと、変なダマができるので、捨てて張り直しということも多々ありました。
    調整に夏に時間がかかると、場所によっては蚊やアブに襲われるとこともあり、毎回憂鬱でした。
    また、けり糸の張り方もピンと張るのか、緩く張るのか等、猟師さんのノウハウにかかわるところでもあります。(この問題解決のため、別記事でけり糸用リールを作成した)
  3. けり糸が見破られる
    最初、けり糸に細いテグスをつかっていたのですが、糸が見えていると思われる個体がいました。
    その後、0.1mmのステンレス線に変更したのですが、それでも、何かを察するのか(もしかすると匂い?)、けり糸直前までしか入ってこない個体がいました。
    さらに、けり糸がイノシシの体に触れたことが分からないように、滑車等をいれて接触を悟らせないようにしているのですが、それでも気づかれたと思われる場面もありました。
  4. 獲物がかかるとけり糸が100%切れる
    当たり前ですが、獲物がかかるとけり糸は100%切れます。
    週に何度か捕獲があると、捕獲作業と箱わな再設定が苦痛になってきます。

これ以外にも、自分が箱わなで経験した問題の解決や、試したい猟法は、単純な物理接触トリガー方式では達成が難しく、電子デバイスを利用した方式を考えていました。

今回は、自分のアイデアと技術だけで達成したかったので、類似センサーの仕組みや特許とかぶっていないことを確認してから開発を開始しました。
現在、回路/メカ/ケース、周辺機器等の設計は完了し、来年の有害獣駆除に向けて試験やデータ取りを行っています。

現状は、基本原理に従った試作機まで完成しており、これを使ってフィールド試験前に必要な様々なデータを室内で収集中です。主には、センサーの測定精度、検知範囲、箱わな部品等との干渉、バッテリー寿命等の測定を完了しています。
最終的には、生体を使った評価しないといけないのですが、現在は、下記のように丸っこいモノの反応等も見ています。

正面から
上から

現時点で、デバイス設計、機能は、要求仕様を満足しており、フィールド試験に耐えるレベルに達したと考えていますが、センサーに直接関係のないところで、気になる点があり思い悩んでいるところです。

悩んでいる問題は、センサーに対する「ねじれ負荷軽減」や「衝撃軽減」を行う部品です。
現在は、暫定的にコンパネをセンサーの下に引いているのですが、あまりにも味気ないです。
お値段が安い素材で、構造/デザインがシンプルなものを目指しているのですが、デザインセンスがなくて手が止まっています。
現在は、このような感じで固定用の穴と、窓が付いただけの板を暫定的に使用しています。
材料の値段は安いのですが、中央に四角く穴を開ける加工が面倒くさいのと、木工の工具と制作者の腕に依存するのが問題です。

簡単に作れるような形状、素材にしたいのですが、なかなかいい案が思いつかないです。
金属部品だとコスト的に痛いので、コンパネのような素材を考えています。
写真のような形状を安定的に製造するには、CNCで切り出すくらいしか方法がないような気がしています。
できれば、不格好であっても、もっと手軽に製造したいと思い、形状の単純化を考えています。

2024年の猟期に入っているので、更新が不定期になると思います。
フィールドテストの状況などをお伝えできればと思っていますが、来年の有害獣駆除時期になるかと思います。
開発/試作中なので、仕組みや動作原理に関することは、記載をぼかすと思いますが、ご容赦ください。

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