今年は本格的に箱わなの運用を行ってみたのですが、意外にセットに手間のかかることが分かりました。私が一番感じた問題は、けり糸の敷設、調整に時間がかかることです。
特に夏は、けり糸の調整で汗だくになる上に、セットに時間がかかると蚊やアブに襲われます。
虫よけスプレーはほとんど役に立たず、アブはシャツ越しに血を吸いにやってきます。(刺されるとものすごく痛く、そして後から猛烈にかゆくなります。)
けり糸の調整は、下記の3つの要素があります。
- 高さ調整
カメラ等で獲物の座高を見て調整する。
親子や成獣が含まれている場合は、成獣に合わせて調整しないと、下手な調整だとウリ坊だけがとれてしまう。逆にウリ坊しか来ない状況である場合は、成獣の設定にすると何も捕獲できない。
箱わなは、基本、親を取らないと失敗。 - 奥行調整
奥行はイノシシの場合、1.2mくらいで固定しておく。私も1.2mで固定してあります。
扉の閉まる音で、獲物が後ろに飛んでも間に合わない距離であればよいと思います。 - けり糸の張り(負荷)調整
けり糸の張り方は色々な方法がありますが、ねらった適度な張りでけり糸(針金)を敷設するのは結構難しいと思います。私の場合、ほぼすべての箱わなに滑車等を入れているので、ピンと張るのが結構難しかったです。
この中で私が一番時間を要したのは、「3. けり糸の張り(負荷)調整」です。
まず、一度で決まった試しがありません。
この時期になって、ふとくくり罠用に作った「わな接続リール」が使えるのではと思い始めました。
くくり罠用との違いは、けり糸の負荷調整がより細かくできる機構を持つことくらいです。
使い方は、下記のように、わな接続リールとけり糸をトリガー付近で(何かを使って)接続することを想定しています。
■ 試作
くくり罠用より、少し小さめのラチェット構造を持つリールとしました。
小さめにした理由は、箱わなのメッシュにひかかりにくくしたかったのと、長いワイヤーの調整/格納は不要だからです。さらに、ラチェット構造を持ち、5mm精度でけり糸の張りを調整できるようにしました。モデルを下記に示します。基本構造はくくり罠用と同じです。
〇 印刷した結果
箱わな用は、少し小ぶりで直径45mmとしました。
実際の構成部品は、下記の通りです。実にシンプル。
3Dプリント部品以外で必要な部品はホームセンターで売っているスプリングだけです。
操作デモ動画です。(指先にゴミついてました…)
〇 ワイヤー実装時の動き
試験用にワイヤーを実装してみました。
固定部のワイヤーの都合の良い長さはわからないので、とりあえず2種類程用意してあります。
巻き取り部は約1m程度収納してあります。
けり糸やトリガーとの接続は何かしらの手を使うことになると思いますが、接続用に100均のカードリングを付けておきました。カナビラの方が汎用性が高いのかもしれませんが、私の想定している使用方法では、これで十分ですし、お値段が非常に安い(たくさん入って100円)という理由だけです。
前の動画では少し動きが分かりにくかったと思いますので、リベンジしてワイヤー実装時の動きを紹介させていただきます。少々見苦しい音が入っていたので、音は消してあります。
■ 今後
表向きは、けり糸の張り調整用のリールですが、色々と使い道を想定して設計したものです。
実際に使用してみて、改良を行いながらもう少し熟成を重ねていきたいと思っています。
少しワイヤ収納スペースが狭いですが、くくり罠用として使用しても良さそうな気がしています。
ただ、くくり罠の場合はドロの中に落ちてしまうことが殆どですので、その辺も機会があれば試していこうと思います。(ラチェットがうまく効かなくなる懸念がある)
いよいよ、楽しい猟期に突入ですが、今年も怪我のないように楽しみたいと思います。