LoRa(Long Range) わな作動センサー無線機 – バッテリー接続テスト結果 #10

WORKS-hunting

1週間ほど間が空いてしまいました。
実は、あまりにへぼ猟師なので、10月から週末は県主催の「ハンター養成スクール」に通ってわな猟のイロハを教わっています。先週は、実際に山で実地研修があったのですが、帰ってきたのが遅かったのとクタクタになり、ブログを更新している時間が無くなってしまいました。
さて、続きです。ダイソー5000mAモバイルバッテリーを実際に長時間動作させてみました。
残念なことに、予想以上に持ちが悪く6日強程度しか持ちませんでした。
子機の消費電力は約15~16mA程度なので、ダイソー5000mAバッテリーで使える容量は約2500mA程度ということになります。バッテリ容量表記がおかしいのか、子機の電流の使い方が合わないのかわかりませんが、半分程度とは少々厳しい結果でした。
バッテリーを変更しようとも思いましたが、入手性がよく、お値段の安いものの方がよいので、今回は、対策を考えてみることにしました。
(実は別のバッテリーを評価してみたのですが、微小電流だと動作せず、すぐに給電をストップしてしまいました。色々と手を尽くしましたが、使い物にならず、凝りて、このままでいくことにしました。)

■ 方式検討

今回の親機、子機の制御方式は、親機によるポーリング。
親機が問い合わせしたときだけ子機が起動していればよく、通信速度も求めません。
考えた方法は、下記の3つ。

  1. 原点に立ち返り、わなが作動したときに、子機の電源をいれる
    電池の持ちは確かに無限大になるが、わなが作動するまで子機が生きているかもわからない。
    やはり、わなを監視している装置の状況は見たい。(不具合が発生していないことは確認したい。)
  2. 親機のポーリングタイミングに合わせて、子機の電源を入れる
    親機、子機にリアルタイムクロックを入れて動作させることになるが、電池、時間合わせなど面倒。ずれも補正する必要があるかも。
  3. 子機の待機電力を大幅に改善する
    待機電力を大幅に改善するには、レギュレーター、LoRaモジュール、MCU等を交換、動作モードを変えるなどの方法が考えられますが、今さらやるのは厳しい。
    もう一つの改善方法として、子機を一定間隔でON/OFFすれば、消費電力を稼ぐことが可能ですが、通信速度は低下しますし美しさにかけます。

ここから選んだ答えは、3。
1は、やはり子機の状態は把握しておきたいので通常無応答は避けたい。
2は仕様を大きく変更することになるので避けたい。
消去法で案を消した結果、残ったのは3でした。

■ 子機の間欠駆動方法

マイコンを使うなどの方法も考えましたが、今回は、555(CMOS版)とMOSFETを使用した間欠回路とすることにしました。最初は、555だけで何とかるかと思っていたのですが、残念ながら、555だけですとレギュレータの動作電圧に到達できず起動できませんでした。
もう少し性能の良いレギュレータを使えば555だけで実現できたかもしれませんが、今回は、MOSFETをスイッチとして使用することにしました。
仮に、レギュレータが4.5V付近で動作してくれていれば、555だけで対応可能です。

今回は、下記の回路をモバイルバッテリーと子機の間に挟んで対応することにました。
この回路で、129秒のサイクルで32秒間だけ子機の電源がONされます。
親機は、この32秒の間に子機にアクセスします。通信時間は最大129秒かかる計算です。
親機は、子機の起動時間はわからないので、一定時間間子機をポーリングして監視します。
当然、子機1台づつ処理していると時間がかかるので、通信できないときは次の子機を優先するなど、少しアクセス方法に工夫を加えています。
この方式だと、1サイクルの消費電力の平均は、5.5mAで、2500mAのバッテリー(ダイソーバッテリーの実質容量)を使用すると、約18日間もつ計算になります。
気候条件で条件がわるくなったとしても、2週間程度は持ちそうです。

間欠駆動回路

仮に4.5V付近で正常動作することができれば、オレンジで囲った部分は不要で青丸部を接続するだけで済んだので残念です。しかも、オレンジ枠部がなければ、待機電力も0.1mA程度で済んだので無念です。オレンジ部の回路を入れた結果、待機電力が1.9mA程度必要になってしまいました。
今後の課題として、少し使い勝手の良いレギュレーターを探しておこうと思います。

■ 悩み:基板の固定方法

基板を作ったのはよいですが、思いのほか大きな基板ができてしまいました。
本当は、熱収縮テープで固める基板(ケーブルのふりをした基板)にしようと思っていたのですが、手持ちのDIPを使用したので、下記のように少々でかいです。

WxH=22mm x 32mm

あいているスペースに基板を配置するしかないのですが、配置可能なケース内のスペースは、下記の3か所(丸で囲った部分)。今回基板を収めたのは、オレンジ丸部。
他の2つは、下記の理由で今回は使いませんでした。

緑のスペース:LoRa以外のデバイス追加スペース。GPS、その他センサーに使用したい。
紫のスペース:少し無理な体制で基板を収めるしかなさそう。

少しわかりにくいかもしれませんが、オレンジ枠に下記のように基板固定用のフレームを収めました。
緑部は、バッテリー制御基板。

実際には、下記のような感じになりました。メンテできるようにねじ止めしてあります。

3Dプリント品であることと、バッテリー対応のため少し余裕を持たせたのでバッテリー基板固定用のフレームをケースに接着しました。(次回以降は、最初からケースに装着されています)

■改良版子機テスト

バッテリーの間欠制御を搭載した子機は下記のようになりました。
見た目は、あまり変わっていませんが、バッテリー寿命は、3倍程度に増えたはずです。

実際に改良版のバッテリーを実際にフィールドにセットして約17日間動作させてみました。
結果は良好。目標の2週間をクリアできました。
残ったバッテリー残量はLEDを見る限りでは、3/4程度は残っているようでした。実際にはそんなには残っていないと思いますが、まだ余裕のあることは確実です。
自分は、約2週間でわなの移設を行いますので、これであれば、十分に実用範囲であると思います。
これから、だんだん寒くなってきますが、それでも、今回の状況であれば2週間程度は余裕で持つように思います。
さらに、設置の間、警報級の雨が連日降っていたのですが、無事防水も機能していました。
設置期間中は、大雨でもメールで罠の状況が安定して通知されており、安心できました。
設置後、3度ほどわなに反応があったのですが、実際にわなは荒らされていました。
何かの小動物が磁石につながっている糸をひかけたのと、空はじき。
装置はちゃんと動作していたのですが、残念ながら、確保には至りませんでした。
わなの設定がよくなかった模様です。まだまだ、腕がついてきません。

■ 次回

わなの作動検知装置としては今回で終わりですが、実際にわなの設置作業時にちょっと困ったことが発生したので、ジグを追加する予定です。別の機会に公開しようと思います。
よかったら、また、のぞいていただけるとありがたいです。

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