実際に狩猟をやるにあたって、いくつかのハードルがあるように思います。
その一つが、わなに捕らえた獲物の止めさし。
十分な技量をもっていれば、ナイフ一丁で問題ではないのかもしれませんが、私はそのような技量を持ち合わせいません。また、銃などの道具も持っていません。
そこで目を付けたのが電気止め刺し機。
簡単に言えば、棒の先につけた針で獲物を刺して電気を流して感電させ、動けなくする道具です。
色々な方が制作されていますし、仕組みも色々なサイトで公開、販売されています。
電気止め刺し機の仕組み自体は簡単なものですので、自分の都合の良いものを作ってみようと考えました。今回は、まずは、構成検討を行います。
■ 基本原理
主要部品、構造を下記に示します。
使い方としては、通電ワニ口クリップを箱わなに接続し、止め刺し槍の先についている通電針を獲物に突き刺します。箱わなの檻と通電針を通して、獲物に電流が流れ、感電させる仕組みとなっています。
あまり原理について説明された文献を見つけることができなかったですが、おそらく、DC12VをAC100Vインバーターで昇圧する理由は、単に手軽に獲物を瀕死にする電圧を作り出すためだと想像します。
人の場合、42V以上である程度の電流が流れると命の危険があるらしいで、同等以上の電圧にするためにAC100Vインバーターを使用するのだと思います。
誰が最初にこのような仕組みを考えたのかわからないのですが、手近なモジュールを使うアイデアにはと感心します。
■ 基本原理の問題点
自分は素人なので、まちがった理解をしているのかもしれませんが、基本原理のままの使用には少し問題があるように思いました。もちろん、基本原理のままで使っても、使用方法を守れば問題はないと思います。
ただ、問題を明確にしておいた方が、妥協または対策するにしても安心感はあるかと思いましたので、列挙しました。
- 問題1:ショート/過電流対策
通電針とワニ口クリップ間がショート、過電流が流れるとインバーターに許容量以上の電流が流れることになります。
インバーター内部にはAC/DC電源用ヒューズ、ポリスイッチが組み込まれています。
過電流が流れると、これらのヒューズ類が切れると思いますが、場合によっては、インバーター自体も壊れることがあります。
たとえ、インバーターが壊れなかったとしても、止めさし中にヒューズが切れると途方に暮れるしかなさそうです。ポリスイッチがうまく働けば復元するでしょうが、毎回うまくいくとは限らないような気がします。 - 問題2:感電対策
使用している方の様子を見ると、絶縁性の手袋をはめて使っておられるので、これでもよいとおもいます。まれかもしれませんが、ワニ口クリップや止め刺し槍が故障や雨水等で漏電していた場合に人体に電流が流れることになります。
ここまでリスクを考える必要はないかもしれませんが、少し気になるところです。
■ 問題対策版
先に挙げた問題の対策を行うため、アース線とブレーカーを追加した案を考えてみました。(赤線部)
ただ、アース線は取り回しと接続方法に難がありそうなので、場合によっては、つけないかもしれません。アース線に関しては、止めさし槍を実際に作りながら考えようと思います。
■ DC 12Vジャンプスターター/AC 100Vインバーター
今回は、検討段階でしたが、フライングしてDC 12Vジャンプスターター、AC 100Vインバーターを買いました。フライングした理由は、メイン部品の接続に制約や必要な部品がないか確認するためです。
その結果、いくつか問題のあることがわかりました。
- DC12Vジャンプスターターの安全装置
購入したDC12Vジャンプスターターには、12V出力する際に専用のケーブルが添付されていました。この専用ケーブルは、バッテリーの接続を確認できた時点で通電する安全装置がついており、12Vバッテリーとしては、そのままでは使用できません。
安全装置なしのジャンプスターターケーブル(単に通電するだけのケーブル)を別途購入し、AC100Vインバーターと接続することにしました。 - DC12Vジャンプスターター、AC 100Vインバーターの接続問題
両者を接続すると、AC 100Vインバーターがエラーで止まってしまいました。
原因は、AC100Vインバーターは、入力電圧上限が15.2V付近に設定されていますが、DC12Vジャンプスターターは満充電時には16.5Vあるためでした。
仕方ないので、DC12Vジャンプスターターは、満充電せず、少し少な目に充電して使用することにしました。 - AC 100Vインバーターの問題
AC 100Vインバーターの出力電圧は、常に100Vあるわけではありませんでした。
安定化電源につないで、色々と実験してみるとAC100Vインバーターの入力可能電圧は、11.0V~15.2Vでこの範囲外は起動エラーとなります。(下表参照)
色々と実験してみると、入力電圧DC 11.0V付近で出力電圧94.9Vとなり、以降入力電圧が上がると出力電圧が低下すると同時に、無負荷時の消費電流も増加します。周波数はほぼ一定で55Hz。
このAC100Vインバーターの仕様はよくわからないですが、少なくとも入力電圧が高ければ高いほど効率が落ちるように見えます。
とりあえず、出力電圧42V以上は確保できているのでよしとしますが、インバーターの動作はよく理解できませんでした。(勉強しないと、何が正しいのかちょっとわかりません。)
入力電圧 | 無負荷時の消費電流 | 無負荷時の出力電圧 |
11.0V | 0.34A | 94.9V |
12.0V | 0.37A | 87.5V |
13.0V | 0.40A | 81.4V |
14.0V | 0.43A | 75.7V |
15.0V | 0.47A | 71.0V |
15.2V | 0.48A | 70.0V |
■ 次回
次回は、止めさし槍の制作を開始します。
止めさし槍も検討が必要なので、まずは、構造、部品選定から行う予定です。
またよかったら、のぞいていただけるとありがたいです。