「わなの作動センサー」を試作してから2年以上経過しました。
運用していく中で色々と不満が出てきたこともあるのですが、私自身を取り巻く環境も2年前から大きく変化し、圧倒的に仕事や家庭に時間を割かざるを得ない状況となっています。
さらに、2年前はくくり罠の運用が主でしたが、有害獣駆除の為に箱罠の運用も始めました。
箱罠の運用は意外に大変で、サラリーマンの場合、仕事前や帰りにわなの見回り、餌撒き、掃除、誘引を行うので、正直厳しいです。
自宅のすぐ近くならよいとおもいますが、私の場合、20km離れた山に入って作業をします。6、7月ならまだ山も20時くらいまでは明るいですが、8月ともなると、19時を過ぎれば真っ暗ですし、天候が荒れれば、安全面の問題も発生します。
また、一度山に入れば、2時間+ガソリン代がかかるので、出来るだけ減らしたいと考えています。
今までに発生した煩わしい事例は、下記のようなものです。
- 山から帰宅後に「あれ?蹴り糸はどういう設定にしたっけ?」とか「ロック外したっけ?」とか忘れてしまい、再度確認をするために山に登った。
- 急に仕事が入って「今日は捕獲中止」となり、箱罠をロックするために山に登った。
- 誘引中の箱罠に何もきていないのにルーティーンなので山に登った。
このような問題の解決には、一方通行の「わな作動センサー」ではどうにもなりません。
箱罠に対応するためには圧倒的に管理情報、機能が少なすぎます。
ですが、この辺りの不満を解消可能なシステムが形になってきましたので、自慢しようとおもいます。
箱罠、くくり罠用のセンサーは、別途個別に開発していますが、今回は、それらの統括システムの紹介です。
〇 「わな管理システム」の概要
私は、実家の裏山(果樹園)でイノシシの捕獲を行っている関係上、通信基地は、実家に置いています。
現在のシステム(「わなの作動センサー」)は、下記のような形態で運用しています。
親機から、子機、中継器まで、直線距離で最大10km(実測は、6km程度までは確認済み)

今まで、上記のように状態通知のみを行ってきましたが、親機を「わな管理システム」に置き換えることで、状態通知だけでなく、罠の設定、管理を可能にします。
(緑丸で囲った部分がシステム上の主な変更点)

絵では、わかりにくいかと思いますが、遠く離れた携帯やPCから、状況確認やわなの設定を可能にしています。
従来の状況監視に加え、最新の検知情報閲覧、わなの設定変更が可能な点が機能的に大きく進化したと考えています。
箱罠の場合、詳細な検知情報は捕獲率をあげるための必須情報なので、機能改善の影響度は大きいです。
〇 監視、設定機能
「わな監視システム」は、インターネット接続可能な場所に電源をつないでおき運用します。
(インターネットに接続するための設定は必要です)
PC、スマホで操作することを前提としていますが、機器の画面でも操作可能にしています。
乾電池駆動でインターネット接続不可能な場所へ持ち出すことも可能にしています。
下記は遠隔制御で表示される管理画面ですが、主機能を簡単に説明します。
わなの状態、設定を表形式で表しているだけのシンプルなものです。

No. | 機能 |
➀ 罠の有効/無効化 | くくり罠や箱罠を設置したり、撤去した際にセンサーの有効/無効を設定する |
② 設置場所、時期を記載する | センサー番号だけでは設置場所が混乱するので、メモ入力を可能にする。 くくり罠は、設置時期を明確にすることで、わなの撤去時期の目安を立てやすい。 |
③ わなのタイプ | センサー番号だけでは種別が混乱するので、センサーから取得したわな情報を表示する |
④ 状態 | わなが作動したり、獲物がわなに近づいてきた等の状態を示す。 |
⑤ 検知情報 | 主には箱罠用。 最適な捕獲設定を行うために、検知した獲物の大きさ、滞在時間、検知日時等を表示する |
⑥ 捕獲設定 | 箱罠の場合、「誘引」「捕獲」の2つのフェーズがあるが、これらのフェーズの切替と、最適な捕獲条件設定を行う。 |
このほかにも、管理用の細かな設定はありますが、上記がメインの機能となります。
たった、これだけのことだけですが、無駄に山に入ることは減るはずです。
〇 「わな監視システム」外観紹介
この界隈(モノづくり系)の方はすぐにわかるとおもいますが、「わな動作センサー」の親機同様にESP32をコアに据えて使っています。理由は、制作のお値段がお手頃でお手軽であることと、既に「わな動作センサー」での基板設計や動作実績があったからです。
外観は、下記のようになっており、H x W x D = 132mm x 64mm x 29mmで、従来の「わな動作センサー」親機より、すこし大きくなっています。

給電は、USB-C接続 or 乾電池(単三x4本)としています。
「わな動作センサー」では単四x4本だったのですが、すぐ電池が切れてしまっていたので、単三に変更しました。

「わな動作センサー」より少し大型化した理由は、電池の変更によるものです。
筐体の半分以上は電池が占めています。
自宅に設置して運用する際には、USB-C給電のみで運用します。
その他、「わな動作センサー」で気になっていた点を今回改修しました。
ですが、今になって電池は不要かもと思い始めてます。
わざわざ電池BOXを付けなくても、屋外では携帯から電源をとればいいだけです。
電池BOXを除去すると筐体は半分程度になるし、私自身は、置きっぱなしだし…と悩み中です。
〇 今後
「わな動作センサー」を作成してから2年が経過し、やっと中途半端な仕様が改修できそうです。
2年前、当時、「わな猟DX」をやってみたくて始めた開発でした。
「遠く離れた仕事場で、わなが弾いたかわかれば十分すごいだろ?」と試作しましたが、今考えると、とりあえず使えるものの、機能的に不完全でした。
もっとも大きな欠点は、「箱罠が扱えない」ことです。くくり罠用センサーにも不満があります。
はっきり言えば、仕様的にダサく未成熟でした。元組み込み屋とは口が裂けても言えない代物です。
今回の改修で色々と迷走した結果、自身が目指す「わな管理システム」と「わな猟DX]を明確にすることができました。これからも、素人猟師の自身が楽に狩猟を楽しむことを目指して、わなの腕を磨きながら、よりよいセンサーを開発しようとおもいます。